パトロール・コンペティションとは

 日本におけるライフセービング活動は、1980年前半にオーストラリアのライフセービング・メソッドが紹介されたことでその基礎が作られました。そして、救助方法や救助機材とともに体力向上のための競技会も導入され、今日まで、盛んにおこなわれてきています。これにより、ライフセーバーのフィジカル面は向上が図られました。しかし、救助スキルについては、ライフセービング先進国のそれと比べるとまだまだ不十分といわざるを得ません。

 スキルアップのためには、様々な対策が講じられる必要がありますが、その一つとして、オーストラリアでは、泳力やボードの速さを競うフィジカル競技の他に救助や心肺蘇生を的確に出来るかを競う「パトロール・コンペティション」が実施されています。この競技大会は、競い合うことでスキルの向上を図るだけでなく、社会に対してライフセーバーの活動内容や技量を広報する良い機会にもなっています。

 本大会「ライフセービング・パトロール・コンペティション」は、このパトロール・コンペティションを日本に導入し、現場のライフセーバーのスキルアップを図り、さらに社会に対してライフセービング活動に対する認知度向上につなげる機会にしようとするものです。

 本大会は平成30年から正式開催を計画しており、以降は年1回のペースでの開催を予定しています。また、今大会は、競技規則や運営方法の的確さを検証することを目的にパイロット大会として開催します。


①サーフチームレース(6名・10点)

ビーチをスタートして沖のブイを泳いで回ってくる。距離は約460m。

②ボード・チューブレスキューリレー(3名・10点)

沖にいる1名のペイシェントに対して、泳いで向かってレスキューチューブで確保し、もう1名がそれを受けついでレスキューボードでビーチまで救助をしてくる。

③学科試験(6名・20点)

パトロールに必要な知識についての筆記試験。20問が出題され15分で解答する。チーム6名の平均点がチームの評価となる。


④BLSアセスメント(4名・20点)

呼吸と脈が停止している設定の患者(ダミー)に対して、1人→2人→4人と順に人数を増やしながら心肺蘇生を行い、その正確さを競う。競技者は、当日、くじ引きで決定する。


⑤救助シミュレーション(6名・40点)

海岸にけが人や溺れた人を設定し、準備や片づけを含めて15分間で的確に救助や応急手当が出来ているかを審査する。

( )内は各競技の参加選手数と満点の場合の得点


オーストラリアのパトロール・コンペティション